声にならない声 

2001.12.13.up

 ねえ、啓介さん?

 何でいっつもそういう目でオレんこと見るんスか?
 なんか、すげぇ気になってしょうがないんですけど…。
 何も言わないし何もしないくせに、そういう目だけ向けてくる。
 だから余計気になるんだけど…。
 …でも、何となくシャクだから、実はオレ、わざと気づいてないフリをしてんです。
 知ってました?
 ………んなワケないか。
 …きっとあんたは全然気付いてない、だろうなぁ。
 


 けど、ホントにずっと、なんスよ?
 いつからかなんて、すっかり忘れちまったくらい、オレと一緒にいる時は、ずっとオレんこと睨んでますよね…。
 それが、本当は睨んでるワケじゃないんだって、わかったのはつい最近。
 


 啓介さん。
 わかってます? 自分の視線の意味。
 自覚してます? どういう瞳でオレんこと見てんのか。
 その視線で、オレのこと縛ってるつもり? それとも、オレに縛られたい?

 ねえ、オレを、独占したいんスか…?




 オレは結局、どう受け取ったらいいのかわかんなくて、やっぱり今も知らん振りしてる。
 だってオレ、自分の気持ちもまだよくわかってないし。
 けど、気にはなってるんだ。啓介さんのこと。
 今は、多分…誰よりも。
 だから、さ。
 とりあえずは。

 啓介さん、何か、オレに言ってみてよ。
 
 啓介さんが何も言ってくれなきゃ、オレ多分、ずっとわかんないままだから。
 啓介さんに言われたら、わかると思うんだ。
 オレ頭悪ぃから、もしかしたらわかんねえかもしんないけど。
 でもちゃんと、考えてみるから。
 ねえ、だから、早く言ってよ。

 ………オレの気が変わらないうちに、さ。



 啓介さん。

 オレ、今、あんたのこと…──



終     

   

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