ねえ、啓介さん?
何でいっつもそういう目でオレんこと見るんスか?
なんか、すげぇ気になってしょうがないんですけど…。
何も言わないし何もしないくせに、そういう目だけ向けてくる。
だから余計気になるんだけど…。
…でも、何となくシャクだから、実はオレ、わざと気づいてないフリをしてんです。
知ってました?
………んなワケないか。
…きっとあんたは全然気付いてない、だろうなぁ。
けど、ホントにずっと、なんスよ?
いつからかなんて、すっかり忘れちまったくらい、オレと一緒にいる時は、ずっとオレんこと睨んでますよね…。
それが、本当は睨んでるワケじゃないんだって、わかったのはつい最近。
啓介さん。
わかってます? 自分の視線の意味。
自覚してます? どういう瞳でオレんこと見てんのか。
その視線で、オレのこと縛ってるつもり? それとも、オレに縛られたい?
ねえ、オレを、独占したいんスか…?
オレは結局、どう受け取ったらいいのかわかんなくて、やっぱり今も知らん振りしてる。
だってオレ、自分の気持ちもまだよくわかってないし。
けど、気にはなってるんだ。啓介さんのこと。
今は、多分…誰よりも。
だから、さ。
とりあえずは。
啓介さん、何か、オレに言ってみてよ。
啓介さんが何も言ってくれなきゃ、オレ多分、ずっとわかんないままだから。
啓介さんに言われたら、わかると思うんだ。
オレ頭悪ぃから、もしかしたらわかんねえかもしんないけど。
でもちゃんと、考えてみるから。
ねえ、だから、早く言ってよ。
………オレの気が変わらないうちに、さ。
啓介さん。
オレ、今、あんたのこと…──
終
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